登檣礼

登檣礼をすべての人に捧ぐ・・・

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誰かのための108の断片 048

春の暖かい日差しと、冬の冷たい風が入り混じる季節。
久しぶりに物書きの真似事がしたくなったので、近所の喫茶店へ篭ることにした。
外を向いている窓際のカウンター席の右隅に陣取って、机の上に道具を広げる。
使い古したノートPCと、物語のネタを書きなぐったルーズリーフ。
そして期間限定の桜抹茶ラテなる珍妙な飲み物を傍らに置き、
目の前に咲く大きな桜の木を眺める。


幾度かの桜を共に過ごし、また幾度かの桜を通り過ぎてきた。
あなたは今この満開の桜の元、何を想い、誰と一緒にいるのだろう。


数年前までは桜を出しにして、毎年のように彼女に逢いに行ったものだ。
円山公園、吉野山、造幣局。
桜を見に行くというより桜を見ている君を見に行っていたようなもんだった。
君もたぶん気付いていただろうけど、
気付かないふりをしていたのかな。
ちょっとずるいな。


「隣、いいですか?」

桜を眺めながら物思いに耽っていたら、ふいに女性の声がした。
視線をずらすと、左側の椅子の後ろに人が立っているのがわかった。
机の上に広がった紙、といっても寄せるほど散らかしてはいなかったが、
それらをまとめて反対側に置き直した。
彼女は隣に座ると、バッグから10枚ほどの紙の束を取り出し、
何ページかめくったところでにらめっこをはじめた。
ちらっと目をやる。
たぶん英語で書かれた論文のようなものであろう。
盗み見た程度ではその単語の意味さえわからないような内容だった。

そういえば前にもこんな光景を見たことがある。
たしかあの子が英語で書かれたイスラエル云々の論文を読んでいて、
私が向かい側で物書きの真似事をしていたっけ。
あれはなんとも心地よい空間だった。



彼女は辞書をめくりながら英文と格闘している。
私はときどき桜に思いを馳せながら、まったく関係の無い物語を紡ぎ出していく。

1,2時間は経ったであろうか。
傍らに置かれた珍妙な飲み物もすっかり冷めてしまい、
頭の中の引き出しも空っぽになってきた。
腕を組んで宙を見上げる。視線の先には見事な桜の花。
その記憶の先には君がいる。

まあなんだろうね。何年もご無沙汰だけど、
まだ君を好きでいることには変わりはないんだろうな。


隣で難しい顔をしていた彼女は、
辞書を片手に最後のページまで読み終えたようだ。
一つ大きく息を吐くと、時計にちらっと目をやり、
しばらくあの桜の木を眺めていた。

やがて店を出た彼女は、公園のほうへと歩いていく。
その横顔はとても楽しそうだった。
今は桜の見ごろだよと、心の中でそう教えてあげた。


季節はずれの幽霊話は、半分くらい書けただろうか。
なかなか続きが思い浮かばない物語の続きを目の前に、
私も花見へと逃げ出すことにした。
空はいつの間にか厚い雲に覆われてきた。

そういえば君と逢う日は、不思議なくらい雨の日が多いよね。

もうすぐ君のところにも桜の雨が降るのかな。
それと、今日は君の誕生日だったよね。
おめでとう。今日から1年、また幸せな日々が続きますように。



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[ 2013/03/25 23:15 ] Geschenk | TrackBack(0) | Comment(0)

誰かのための108の断片 047

やっぱりぼくは きみのことがすき

唐突な台詞だけど それはいつものこと
考えて考えて 結局たどり着く結論
届いても届かなくても とにかく言葉に記す

不器用すぎて 焦ってばかりで
きっと君は あきれ顔になっているんだろうけど
僕はそんなことお構いなしで いつもの詩を歌うんだ


やっぱりぼくは きみのことがすき

君にとって僕は 大した存在じゃないのかも知れない
どんな言葉を使っても ペシミストは安心できない
そんな僕を憐れむのなら 一秒でも多く寄り添ってほしい
甘えてわがままを言って 笑顔をくれれば少しは安心できるから


やっぱりぼくは きみのことがすき

伝えたところで またいつものふたり
だから今回は つまらない意地を張ってみようと思った
何かあったら 新しい何かをはじめてみる
何もなければ 好きなままさようなら


[ 2011/05/05 07:29 ] Geschenk | TrackBack(0) | Comment(1)

誰かのための108の断片 046

「あなたのことを考えなかった日なんて1日たりともありません」


そう言えたのは先月のあの日まで。
最近ついに、あなたのことを考えなかった日が現れてしまいました。

特に不思議でもなんでもないのですが、
私にとってはとても悲しいことなんです。
考えなかったことが悲しいのではなく、
このまま忘れてしまうことが悲しいのです。

あなたにとってさほど大きなことではありません。
いずれ私にとってもさほど大きなことではなくなるでしょう。
もしそれだけの繋がりであったならば、それは当然のこと。

けれどまだあなたに想いを馳せるのは、きっと何かあるはず。


1回目のハジマリは、阪急梅田駅
2回目のハジマリは、円山公園

3回目のハジマリは、来るのか来ないのか。
自ら引き寄せたのでは、それはまだ2回目の延長でしかありません。
だから今度は待ってみようと思います。たとえそれが来ないとしても。

[ 2011/04/17 23:48 ] Geschenk | TrackBack(0) | Comment(0)

誰かのための108の断片 045

昨日も今日も明日も 同じことを考えているのは
はるか昔に存在した私の はるか昔の貴族の名残

あなたの元に赴くのも どこまでも謙虚に接するのも
毎日無事を祈りつづけるのも 切なすぎて嫌いになりかけるのも

届かぬ想いだけが引き継がれて 今私はここにいる
鬱陶しいくらいの想いが溢れて 流れ出ることに後悔する


欧州のオプティミストは諦めの笑顔
主従の関係を大義名分にして隠れることができた

東亜のペシミストは偽りの笑顔
距離と時間を大義名分にして隠れようとしている


-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-

とにかく私は、あなたのことが心配でたまらないようです。
とはいえ、私が心配する筋合いはないし、何を心配しているのかすらわかりません。
実にもどかしい。実に辛い。

もし仮に、私があなたのことを心配しなければならない存在であり、
あなたがそれを望んでくれるのであれば、万事解決だとは思いませんか?
それとも私のことだから、そんな関係でもペシミストとしての本領を発揮すると?
それについては直接尋ねられればいいのですが。。
なにせ貴族の名残でおそろしく謙虚ですから。


[ 2010/10/17 00:50 ] Geschenk | TrackBack(0) | Comment(0)

誰かのための108の断片 044

長い長い冬が終わり、春を通り越して夏を迎えたような季節の、とある雨上がりの日曜日。


[ 2010/05/26 00:46 ] Geschenk | TrackBack(0) | Comment(0)
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