登檣礼

登檣礼をすべての人に捧ぐ・・・

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師匠のための108の断片 011

鍵と呼ばれるその見えざるもの


それは ぼくの目の前に敷かれたレールの上にある 1つの石ころだった
ぼくははるか後方を その石ころへと向かって走っていた
それは見えざるもの 気配も匂いもなく レールの上に置かれていた
やはりぼくは気づかずに それを踏みつけてしまった

ガクンッ

ものすごい音と衝撃で ぼくの車輪はレールから飛び跳ねた
着地点は レールとは大きくずれていた
やわらかい土と 草が車輪を包み込む感触
そしてそのまま レールのない下り坂を 風を切って下りはじめた

ヒューと吹く風の音 ザワザワと草の上を回る車輪の音

気持ち良かった 心地よかった
レールの上の1次元から飛び出し 左右に広がる2次元への移動
どちらに行こうか それを決めるのはぼくだ
ただその自由の中に 唯一残る制約があることも知らず

ベクトル成分の中に残る 坂の下への矢印

ふと横を見ると 誰かが同じ次元を走っていた
その向こうに目をむけると たくさんの人が走っていた
みんな楽しそうに レールのない場所を自由に
ぼくと同じだ みんなとても楽しそうだ

その次に僕の目に映ったのは 一人の女の子

女の子もみんなと一緒に走っていた だが視線は大空に向かっていた
ぼくは気づいた みんなの向かっている先が同じであることを
みんな速く走りたくて 一直線に坂の下を目指している
次元を逆行して 無いはずのレールを作っていた

女の子は 翼を広げ フワリと舞い上がった

誰も女の子を見ていない みんな坂の下しか見ていない
ぼくは目の前の見えないレールに気づいた そして女の子を見た
あっという間に 女の子は天高く舞い上がった
ぼくも飛ぶべきか 疲れるけど飛んでいくべきか

翼はもっていない でも願わくば 彼女と同じ次元へ

この楽しさを捨てるのはもったいない ここは暖かくて気持ちがいい
でもあの空には もっと楽しいことが待っている気がした
飛び続ける辛さも 照りつける太陽の強さも 容易に想像できる
それでも ぼくはこの空へ 彼女の飛び立った空へ

風で目が滲んで 君の姿が遠くなる その空へ この空へ






CLANNADアフターのOP「時を刻む唄」は ぼくの翼の一部になった

翼の小さいぼくは 舞い上がるのに時間がかかる
一生かかっても 追いつけないかもしれないけど
ぼくはきみを…

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[ 2008/10/05 15:07 ] Geschenk | TrackBack(0) | Comment(0)
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