登檣礼

登檣礼をすべての人に捧ぐ・・・

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

師匠のための108の断片 021

丘の上の珈琲店


丘の上に珈琲ショップがあって、私はそこで働いている。
彼女はいつも息を切らせて丘を上ってくる。今日も閉店間際に飛び込んできた。

私は彼女が好きだ。


「このバナナのやつが飲みたいです」
「えええ? もうお店終わっちゃいますよ」
「だめですか……」
「や、駄目ってわけじゃ」
「……じゃあこっちのホットチョコで」
「あ…、いえ、バナナのほうお作りしますよ」
「いいです、ホットチョコお願いします」

「分かりました、少々お待ちください」
彼女はしょんぼりとした顔で、私の正面のカウンターに座る。

閉店間際に訪れて、手間のかかるものを注文する。
私がちょっと困った顔をするのを見るのが好きなんだろうか。
いつも私の顔をじっと見ているくせに、チラッと目線を送るとあわてて私の手元に視線を移したりする。

今日に限って、手間のかからないものを注文してくれたおかげで、閉店までにはしばらく時間があった。
「お待たせしました」
熱々のカップを乗せたコースターを彼女の前に滑らせる。と、彼女はそのままカップをまっすぐ戻して来た。
「……?」
私は随分と間の抜けた顔をしたに違いない。

彼女は私の顔を見て、とても柔らかく微笑んだ。
「これはあなたに」
カップを戻してきた手が、そのまま私を指さした。
「時間なくて、チョコ作ってこれなかったから」
私と彼女は目線を合わせたまま、しばらく固まってしまった。
あぁそうか、今日はそんな日だった。

「お仕事中だから、だめですか」
だめだと言われない自信があるような顔で、彼女は私の反応を窺っている。
「いえ、大丈夫ですよ。もうすぐ閉めますし、お客さんもあなたひとりですから」
本当はだめなんだろうとか、そんなことはまったく考えなかった。

「では何かお返しをしないと」
天井に視線を移し、何かを考えるようなふりをした。
彼女から視線を外すのが、えらく久し振りのような感覚だった。
「いつものやつでいいですか」
彼女に視線を戻し、軽く笑いかけてみた。


私は、彼女のことが好きなんだと思う。
そしてたぶん、彼女も。
スポンサーサイト
[ 2009/02/14 13:07 ] Geschenk | TrackBack(0) | Comment(3)
こんにちわー^^
リンク貼らせていただきましたっ
よろしくおねがいしまーすw
[ 2009/02/14 13:23 ] [ 編集 ]
>ぴぃちさん

ようこそ~
こちらも貼らせていただきました~♪
[ 2009/02/15 01:17 ] [ 編集 ]
やべー

ええはなしやのぉー♪
[ 2009/02/20 18:54 ] [ 編集 ]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL


ページ最上部へ

プロフィール

Junkers(ユンカース)

Author:Junkers(ユンカース)
DOL航海日記をメインに
仮想と現実を分け隔てなく織り交ぜ
様々な創作をしていく不定期ブログ

※昔某所で「めたふぁー」を名乗っていた人

<< DOLリンク >>

大航海時代Online公式ページ

---------------

バーボンハウス
セビリア3番商館

--------


テテの小航海時代@Eurosとか
テテさんのブログ

小吉男の小吉生活
狗鷲さんのブログ

(´・ω・`)やぁ。ようこそバーボンハウスへ。
CALBOTさんのブログ

アニスの大航海
アニス・タトリンさんのブログ

ファヤウの日記
ファヤウさんのブログ

ニュルンベルクのたまご
Neyaさんのブログ

遅いじゃないか、ミッターマイヤー・・・
ミッターマイヤーさんのブログ

fuzzy fuzzy
フィリエさんのブログ

水平線は一直線
ぴぃちさんのブログ

ハナココのアレなブログ
ハナ=ココさんのブログ

Giovinezza!
ロドリーゴ・デ・トリアーノさんのブログ

Old Rose
カスガさんのブログ

Walkureの大航海日誌
木村昌福さんのブログ

--------


管理者ページ


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。