登檣礼

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誰かのための108の断片 041

-坂の下の喫茶店-


 3月も下旬を迎えた今日、私の頭上では冷たい雨が降っている。桜も開花したばかりだというのに、綻びかけた蕾がまた閉じてしまいそうだ。
丘の上にある珈琲店を閉め、急いで坂を下る。彼女との約束の時間まで、もう5分もない。
「・・・はぁ」
しかし私はどうしてこんな日に傘を持って出かけなかったのだろう。朝の天気予報ではしっかりと雨の予告はされていたはずだ。いくら雨に打たれるのが好きだといっても、今日の雨は冷たすぎる。

喫茶店に着いた時には、約束の時間を5分過ぎていた。そんなときに限って、いつも遅刻する彼女が先にいたりするのだ。
「ごめん、遅れました。」
彼女は軽く手を振って私を迎えてくれた。
「傘持ってなかったんですか?」
「ええ、朝は降ってなかったんで、うっかりしました。」
席に着き、コートと帽子をタオルでぬぐった。
「でも私と会う時って、ホントに雨ばかりですね。」
確かに、彼女と会うときはいつも雨が降っている。楽しいことがあるときは必ず雨が降る、私はいわゆる雨男なのだ。
「今日は特別な日だっていうのに、気の利いたものが用意できませんでしたよ。ここのケーキで我慢してもらえるとありがたいのですが。」
「いいですよ、お祝いしてくれるだけでもうれしいです。」
そう、いつもなら私の店でバナナフロートでも飲みながら会話を楽しむ程度だが、今日は彼女の誕生日だ。雰囲気を変えて別の店、ケーキがおいしいと評判のこの喫茶店を選んだのだ。
「本当だったらお友達とか、ご両親と一緒にお祝いしたかったのではなんて考えてしまいましてね。」
「そうでもないですよ。あなたがお祝いしてくれるほうがうれしかったりするんです。」
運ばれてきたモンブランフロマージュとアールグレイ。偶然にも2人が選んだのは同じメニューだった。
「・・・そう言われると照れますね。」
「あなたも私に祝ってもらえるとうれしいですか?」
「え?」
「4日後の話ですよ。予定空いてるんで、ご一緒できますよ。」
彼女はやわらかく微笑んだ。
「そうですねぇ、ぜひお願いします。」



私は彼女が好きだ。
そして、たぶん彼女も。
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[ 2010/03/25 23:15 ] Geschenk | TrackBack(0) | Comment(0)
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