登檣礼

登檣礼をすべての人に捧ぐ・・・

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誰かのための108の断片 042

長い長い冬が終わり、春を通り越して夏を迎えたような季節の、とある薄曇の土曜日。





昼下がり。薄日の差し込む離宮庭園を歩く、一人の女性がいた。後ろには衛兵と思われる2人の大男を付き従えている。
「明日は私用で街に出ます。護衛は不要ゆえ本宮で待機なさい」
「姫様、それはなりません。私用と言えど城外へ赴く際には随行が必須です。警衛の任を仰せつかっておりますので、何卒務めさせていただきたく」
「不要です。待機なさい」
「いやしかし・・・」
「それとも何か、ここの城下は護衛が無ければ歩けぬほど危険だと申しますか」
「い、いえ決してそのようなことは・・・」
困惑した衛兵の後ろから、一人の老紳士が現れた。
「マリー様、いかに安全な場所とはいえ警衛はこの者たちの義務ですぞ」
「爺までそのようなことを申しますか。困りました・・・」
「して、街へは如何用でお出になりますかな」
「・・・人に会います」
「ほお、その御仁は何者ですかな」
「それを報告する義務はありません」
「ふむ確かに。しかしそれでは随行を拒むだけの説得力がありませんな」
「・・・・・・」
「よろしい。お前たちは下がれ」
老紳士は衛兵を下げ、その背中を横目で追った。彼女も同様に2人の姿を見ている。
「さて、黒鷲の御仁とはどこでお会いになるんですかな」
「さすがですね、すでにご存知でしたか」
「欧州広域遊撃隊といいましたかな。任務期間でもないのに隊士が街にいれば誰でも気づくというものです」
老紳士は口ひげの先端を指でなぞりながら、ゆっくりとした口調で話した。
「お咎めを受けなければなりませんか」
「いやいや、軍規にも内規にも反する行動ではありませんからな。しかしあなた様が会いに行くというのであれば、やはり誰かしらの随行が必要というものです」
「そうですね・・・」
しばしの沈黙の後、老紳士が再び口を開いた。
「ふむ、臨時ではありますが誰かに護衛を依頼するというのはどうでしょう」
「誰か・・・といいますと」
「ちょうど城下に遊撃隊の者が参られておると聞きます。その者に任を命ずることもできますが、如何致しましょうかな」
彼はニヤリを笑い、いたずらっぽくウィンクしてみせた。
「すばらしいお考えです。さっそく手配を」
彼女は目を輝かせた。
「かしこまりました。では明日、王宮前広場の教会にて待機させます」
「お心遣い感謝します」
「お安い御用です。私もあの青年が嫌いではありませんからな」
彼女に頭を下げると、彼は離宮の中へ戻っていった。


彼女は空を見上げる。
「明日は雨かな」
やれやれといった表情の中に、うれしさがにじみ出ていた。



1/3 fin


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[ 2010/05/24 23:41 ] Geschenk | TrackBack(0) | Comment(0)
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